今回ご紹介する絵本は『だるまちゃんとてんぐちゃん』です。
この作品はとても昔から読みつがれている絵本です。
初版は1967年!2021年時点で第170刷です。
作者は加古里子さんです。「かこさとこ」さんではなく、「かこさとし」さんです。私はさとこさんだと思っていました。
作者の経歴を見ていると、なんと東京大学卒!しかも工学部です。そこからいろいろあって、児童文学の方に進まれたようです。ちょっと変わった経歴?ですかね。ただ、この絵本には理系的な要素はありませんので、理系が苦手な方でも大丈夫です。
さて、『だるまちゃんとてんぐちゃん』です。なかなかすごい組み合わせです。
みなさんはファーストインプレッションではどちらが好きですか?
どうでもいいことですが、私はてんぐちゃんでした。どうでもいいですよね。
ちなみに表紙では2人はじゃんけんをしていますが、本編では一切じゃんけんはしていません。
と、前置きが長くなりすぎましたので、とっとと紹介していきます。
基本情報
・作者:加古 里子
・対象年齢
○読んであげるなら:3歳〜
○自分で読むなら:小学低学年〜
・ページ数:28ページ
・読み聞かせ時間:4分程度
『だるまちゃんとてんぐちゃん』の内容・あらすじ
だるまちゃんとてんぐちゃんがいます。
赤いだるまと白いてんぐです。
だるまちゃんはてんぐちゃんの持ち物に興味津々。
てんぐちゃんのうちわを見ては「それなあに?」と聞き、「うちわだよ」と聞くと、
「ふーん いいものだね」
と言って、家に帰って、だるまどん(恐らくだるまちゃんお父さんと思われる)にうちわをねだります。
だるまどんはたくさんのうちわを出してくれるのですが、だるまちゃんはお気に召しません。
そのうちにだるまちゃんはいいことを思いつき自作のうちわを持っていきます。
するとてんぐちゃんは「いいものみつけたね」とだるまちゃんをほめてあげるのです。
そのあともだるまちゃんはてんぐちゃんの持ち物に興味津々です。
ぼうし、はきもの、そしてあろうことかてんぐちゃんのトレードマークの“あれ”までもほしくなってしまうのです!
果たしてだるまちゃんは“あれ”を手に入れることができたのか?そもそも“あれ”とは何なのか?
ぜひ、読んでみてください。
この絵本のいいとこ
てんぐちゃんがとにかくいい子
この絵本の主人公はだるまちゃんなのですが、その相手をしているてんぐちゃんがとにかく優しいんです。
だるまちゃんが自分のまねをして、ちょっとおかしなものを身に着けてきても、必ずだるまちゃんのことをほめてあげるのです。てんぐちゃん優しすぎる!
その他の登場人物(だるまちゃん一家)もみんな優しい、とても優しさに包まれたお話です。
だるまどんが「おおまちがいのとんちんかん」をする。だがそれがいい。
だるまどんがちょっとミスをして、それに対してだるまちゃんがちょっとむっとする場面があります。
そのときにだるまどんが言い放った一言が、
「ごめん ごめん。 これは おおまちがいの とんちんかん」
です。これを読んだときに3歳の息子が大笑い!
「おおまちがいの とんちんかん!?」
それ以来、このパワーフレーズが息子のお気に入りになりました。
使い方も覚えて、失敗したときに「おおまちがいの とんちんかんだった!」と笑いながら言っています。
昔ながらの絵本を読んでいると、今ではあまり使わない言葉がたくさん載っていて、
そのめずらしい響きや音の組み合わせの言葉を子どもが面白がることがよくあります。
そして、その意味を知り、やたらめったら使ってみようとする。それを今後どこまで覚えているのかはわかりませんが、少なくとも今の子どもの言葉の世界が少しだけ広がったのは確かだと思います。
そうした言葉との出会いも絵本の大きな役割の1つだと感じます。
「とんちんかん」って変な言葉ですが、だが、それでもいいんです。
まとめ
だるまちゃんとてんぐちゃん。いかがだったでしょう。
何でもほしがるだるまちゃんと何でもほめちゃうてんぐちゃん。
あなたはどちらがお好みでしょうか?
最後のページになぜモチーフをだるまとてんぐにしたのかというかなり真面目な作者の考えが書かれてあります。
かなりかための内容なのですが、そこから生まれたこの作品はとっても柔らかい作品です。
興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
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