『もうぬげない』ならぬがずにいようヨシタケシンスケ

今回ご紹介する絵本は『もうぬげない』です。
とてもとても有名な作家さんのヨシタケシンスケさんの作品の1つです。

ヨシタケさんの作品は初めて読んだときから、その視点の面白さに「はーなるほどー」と思わされ続けています。
もちろんシンプルに面白いんですが、読んでいるうちに絵本というよりも、哲学書のような、人生の指南書のようなものを読んでいるような気がしてきます。

と、本論のような前置きが長くなってしまいましたので、さっそくご紹介していきます。

基本情報

・作者:ヨシタケシンスケ
・対象年齢:記載なし
(うちの子は3歳〜)
・ページ数:28ページ
・読み聞かせ時間:3分程度

目次

『もうぬげない』の内容・あらすじ

『もうぬげない』は、服をぬごうとして、ぬげなくなってしまったある男の子のお話です。

タイトルそのまんまじゃないかと思われるかもしれませんが、その通り、そのまんまなんです。

でも

そのまんまじゃないんです!

ぬげなくなった男の子はぬげないまんまこれからの人生について考え始めます。

ぬげなくてもいいのか?
ぬげなくてもいいんじゃないのか?
服がぬげなくても偉くなった人がいるんじゃないのか?
他のぬげない人と仲良くなれるんじゃないか?
ネコがこちょこちょしてきたらどうしようか?

そんなことを考えながら男の子はのたうち回ります。
現状を脱しようとバタバタバタバタ。

そうこうしているうちに、お母さんにつまみ上げられ、あっさり問題は解決しますが、
また新たな問題に直面します。その問題は…ぜひ読んでみてください。

この絵本のいいとこ

浅い、けど、深い

服が脱げなくなった男の子。
ただそれだけの話なのに読んでいると、何か深い。いや、深く感じてしまうのです。
これは、服がぬげない話なのか、それとも人生の話なのか。
私たちは服をぬがないといけないという固定観念や偏見をいつの間にか持ってしまっていたのではないか。

と、子どもはそんなことは考えないかもしれませんが、私はなんか考えてしまいます。考えさせらせられてしまっています。
別に考えなくてもいいのに。そして、どうでもいいことなのに。

でも、絵本の中の子どもが考えているのですから、こちらも考えないわけにはいきません。
でもでも、考えていることが、くだらなすぎる。

浅くて深くて浅いけど深い。いい絵本です。

深い、けど、面白い

“深い”とか書くと、「難しそうな、ちょっと斜に構えたような、やや奇をてらったような絵本なのかな〜」と思われるかもしれませんが、そんなことはまったくありません!
普通に読んで面白く、普通に笑えるところが、この絵本のすごいところです。

この特徴はヨシタケシンスケさんの絵本全般に言えるかもしれません。とにかく、絵もかわいらしく全体的に丸みをおびたフォルムで、文や言葉も簡単なんです。そして、内容も面白い。なのに、深い、だから絵本として魅力的なんですよね。

まとめ

ヨシタケシンスケさんの絵本はたくさんありますが、内容を理解するのにある程度の年齢が必要な作品が多いので、ヨシタケシンスケ入門書として、『もう ぬげない』はいいと思います。絵をみただけも十分笑えて楽しめます。

ただし、一緒に読んだお子さんが絵本のまねをする可能性が非常に高いので、ご注意を。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。『もう ぬげない』に興味をもたれた方はぜひ読んでみてください。

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