今回ご紹介する絵本は『むしたちのうんどうかい』です。
“虫”は子どもにとっても親にとっても好き嫌いがわかれるジャンルですよね。
好きな子はめちゃくちゃ好きで詳しいけど、苦手な子は見るのもいや!という感じ。
“虫”の絵本は、絵のリアルさがかなり読書意欲に影響するように思います。
ふんわり、やんわり何となく描いているのか、あの禁断の裏側までびっしり描いているのか…。
今回はふんわりやんわりテイストの絵本ですので、虫が苦手な人も大丈夫です。では本題に入っていきましょう。
基本情報
・文:得田之久
・絵:久住卓也
・対象年齢:3歳〜
・ページ数:32ページ
・読み聞かせ時間:5分程度
『むしたちのうんどうかい』の内容・あらすじ
この絵本は『むしたちのうんどうかい』というタイトルの通り、たくさんの虫たちが集まって運動会をするお話です。
開会式から始まり、応援合戦、かけっこ、玉入れ(ちょっと特殊な玉を使用)、お昼ごはんの時間をはさんで、ダンスや綱引き、そして閉会式。これが全部ではないですが、虫たちが自分の得意な種目で、それぞれの力を発揮して、勝利を目指し(?)ます。
また、この絵本に登場する虫たちは、とてもユーモラスに描かれています。どの虫も特徴をとらえながらもディフォルメされていて、とてもポップな感じに描かれているので、虫嫌いの人でもそれほど嫌悪感を持つことなく読める絵本だと思います。
この絵本のいいとこ
虫の特性がわかる
「本の内容」のところでも書きましたが、この絵本では虫たちがユーモラスかつ特徴をとらえた絵で描かれています。それに加えて、ストーリー上でもそれぞれの虫の特性を生かした内容になっています。足の速い虫や飛ぶのが速い虫、力の強い虫というように、虫の個性が競技や種目に反映するように書かれているので、虫についての勉強とまではいかないまでも、虫の個性や特性を知るきっかけにはなる絵本だと思います。
とにかくずっと楽しい
この絵本の最大のよさは、とにかく最初から最後までずっと明るく楽しいことです。
もちろん絵本の中にも「おお」と思わせるような驚きの展開があるものや、喜怒哀楽の感情が込められたものなどありますが、これは、とにかく、ずっと、明るく楽しい感じが続きます。
やっぱり運動会って楽しい方がいいですよね。もちろん、運動嫌いの人はリアル運動会は苦手かもしれませんが、絵本で読む分には楽しい方がいいと思うんです、私は。なんかわいわいして、わいわいしたまま終わっていく感じ。そのお祭り感みたいなものが、この作品にはあると思います。とにかく明るい虫たちの運動会。何も考えずに楽しく読めるって、これも絵本の良さだと思います。あと、あんまりはっきり勝敗がつかないところも勝ち負けって感覚ではなく、楽しむって感覚があって、そこもいいところかなと思います。
カマキリがないしょにしたこと…
そんな楽しいこの作品ですが、1つだけミステリーが!
それはお昼ごはんのあとに起こります。
それぞれの虫たちが花の蜜や樹液などのごはんを食べて返ってきたとき、
おなかのふくれたカマキリを見てバッタがたずねます。
「なに たべたの?」と。
するとカマキリはこう答えます。
「ないしょ」
虫たちがたくさん集まっている場所でのカマキリの「ないしょ」。
これはもうミステリーです。そして真相は闇の中、胃の中…。(カマキリに胃があるのかないのか知りませんが…。)
まとめ
最後に1点だけこの絵本の闇の部分を紹介してしまいましたが、そこを含めても、この絵本は素直に楽しい本です。大げさに闇と書きましたが、別に闇なんてありません。考えてみたら、まあ闇かな的なものなので、余裕でスルーして読めます。
全体を通して明るく楽しい絵本ですので、虫好きのお子さんはもちろん、そうでないお子さんも十分楽しめる内容の絵本だと思います。
最後まで読んでいただきましてありがとうございます。もし、『むしたちのうんどうかい』に興味を持たれた人はぜひ読んでみてください。